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2006年5月12日 (金)

水花姫。

私がこの本を読んでみようと思ったきっかけは、この「水花姫」の書評が「rockin'on」という音楽雑誌に掲載されたのを読んだからです。
と言ってもずい分前の話で、「水花姫」が出版されたのが1992年のことなので(ちょうどその頃購読していた「rockin'on」で紹介されたので)、もう10年以上も昔のことです。
「水花姫」は尾花ゆきみさんのデビュー作で、太田出版から刊行されました。(現在は入手しにくいかもしれません。)
内容は、主人公の少女(小学4年生)が両親の離婚を経験し、その後母親が自殺。自らの意思で弟とともに児童相談所に身を寄せるというストーリーです。
全体に流れる憂鬱で孤独な空気は、夢見る頃を過ぎて思春期に突入した誰もが抱く人生の巨大な混沌を感じさせるのです。
主人公の少女がこっそりと聞いてしまった大人の会話や、縁日で出会ったたこ焼き屋のおじさんがついた他愛もないウソや、同級生が初潮を迎えてプールを見学したことなどは、「子ども」が「子ども」でい続けることが許されない切なさが伝わって来ます。

本当はどこかにもう一人自分がいて、彼女こそがお姫様なのかもしれないと思った。そうでなければ、ずっと前いつかどこかでお姫様だったけれど、私は贅沢のしすぎ、わがままの言いたい放題で、今はその罰を受けているのかもしれない。

大人になることは苦しい。素直に甘えることのできる相手がいないことは寂しい。自分の過去の一部を忘れることを覚えねばならないのは辛い。
少女はそれが一時の試練に過ぎないのではないかと考えます。けれどすぐにそれが間違いであったことを思い知るのです。

この本は、世の女性の誰もが通り過ぎて来た、少女から女性への変革期を描いたものなのです。

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コメント

今から25年ほど前、当時高校生だった私は
なんとなく自分の境遇に似てると感じ、この本を買いました。
今はもう手元に無い本ですが、久しぶりに思い出して検索し、こちらのサイトを拝見させていただきました。

内容も忘れてしまったけど、
露天のおじさんとのシーン。
そのシーンが一番好きでした。
懐かしさでいっぱいです。

投稿: ミームン | 2017年9月 7日 (木) 01:43

コメントありがとうございます。
もう10年以上も前にアップした記事に書き込んでいただきまして、本当に嬉しく思いました。

ミームンさんのおっしゃるとおり、この作品は懐かしさをよみがえらせてくれる不思議な本ですね。
大切にしていきたい一冊ですよ(o^-^o)

投稿: さんとう花 | 2017年9月 8日 (金) 22:22

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