道。
種田山頭火の随筆を久しぶりに読み直しました。
自分を見つめ直したい時、心をニュートラルの状態にしたい時、いつも私のそばには山頭火がいるのです。
山頭火が日向地方をルンペンの体裁で行脚していた時のエピソード。
とぼとぼと宿を探し歩いていると、山頭火の前に立ってお辞儀をする男がいました。
「あなたは禅宗の坊さんですか。・・・私の道はどこにありましょうか。」
と、徐に山頭火に尋ねました。
「道は前にあります。まっすぐにお行きなさい。」
と、山頭火は即座に答えました。男はそれに満足したらしく、彼の前にある道をまっすぐに行きました。
この男の投げかけた質問を、私もいつも誰かに問いかけているのです。いつも戸惑いながら歩いている道だけれども、果たしてこのまま進んで良いものなのかどうなのか。でも答えはそこにあったのです。
道は前にあるのです。前を向いて歩くしかないのです。
「山是山、水是水」山は山でよろしい、水は水でよろしいのです。とすると、私は私でよろしい、と言うことでしょうか。
山頭火の信念さえ感じられる「道は前にある」という言葉に、いつも勇気と希望を与えられます。私は私らしく、自分の前にある道をまっすぐに行こうという気持ちにさせてくれるのです。
所詮、句を磨くことは人を磨くことであり、人のかがやきは句のかがやきとなる。人を離れて道はなく、道を離れて人はない。
道は前にある、まっすぐに行こう、まっすぐに行こう。
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