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2006年11月20日 (月)

静かな夜景。

月曜日の職場は朝から慌しい。
でもお昼を過ぎると急にお客さんは退けて、窓口業務に携わる者は手持ち無沙汰な状況に陥るのです。
私が一人この場からいなくなったところで、何の支障も来たしません。
特に用事もなければ目的もないのに、私は2時間ほど早引きすることにしました。
同期のSさんが素早くそれを察知すると、
「さんとう花さんが帰るなら私も。」
と言っていっしょに仲良く時間休の申請をしました。
「この後、用事がないならお茶しようよ。」
と誘われるまま、私は彼女の運転するクラウンの助手席に乗り込みました。
Sさんは私と同期なのですが、年齢は一回り年上の47歳、20歳と18歳のお嬢さんの母親でもあります。
スラリとした168cmの長身で、茶髪のロングヘアーが人目を引くのです。
日本女子大学卒の才女にもかかわらず、番長(?)のような風格が漂っていて、同性からは一目置かれます。
Sさんの行きつけのカフェで、ホットコーヒーとN.Y.チーズケーキを注文すると、他愛もないおしゃべりを楽しみました。
Sさんはケーキを突きながら、まじまじと私の顔を眺めて言いました。
「さんとう花さん、この頃明るくなったねぇ。」
「そうですか?」
「男でもできたの?」
「あははは・・・。」
Sさんの言葉はストレートで、包み隠すものがなく、でも悪意のない心地よさがありました。
「こういうところへは、私なんかとじゃなくて、カレと来るものなのにね~。」
「Sさんとだって充分楽しいですよ。」
「でも、さんとう花さんはストイックすぎる。」
「そうですか?」
Sさんと私は、そうして女子大生のようにキャッキャッとつまらない話をおもしろおかしく膨らませて、語り尽くしました。
「さんとう花さん、幸せになりなさいよ。」
もう彼女は私に誰か意中の人がいるのだと信じて疑わないのです。(笑)
Sさんはなんだか嬉しそうに、
「お祝いに(?)ここの支払いは私が。」
と言って、コーヒーとケーキをごちそうしてくれたのでした。

再びクラウンに乗り込むと、
「ちょっと遠回りしよう。」
と言って、とっぷりと日も落ちた362号線を滑るように車を走らせました。
やがてSさんは興奮ぎみに、
「見て見て!」
と、私を促しました。すると視界に広がる車窓の向こうは、漆黒に浮遊する様々な色をした宝石がそこかしこに散らばっているのでした。
その光の数だけロマンがあるのかと、しばし無言で見とれていると、
「この夜景は女同士で見るものじゃないよねぇ・・・。」
と、Sさんがこぼしました。
「そんなことないですよ。私はとても嬉しい。」
私はその静かな夜景をプレゼントしてくれた彼女の優しさが、とても嬉しかったのです。

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コメント

おはようございます。同姓に惚れるってあるんじゃないですか。別に性的な趣味のある人でなくても。その人の生き方、雰囲気がとっても好感が持てるとか。

私も近くに、一回り上の方で、週に4日透析に通っているにの人一倍仕事をし、軽音楽の楽団を率いる大好きな方がいます。ものの見方考え方も同じようなところがあり、いつもあれこれ話をします。

同姓に惚れるというのも得難い出会いですね。

投稿: ゆうじろう | 2006年11月21日 (火) 07:10

ゆうじろうさん、コメントどうもありがとうございます(^o^)
そうですね、同性といえども好きなタイプとそうでないタイプがいますよね。
異性に対する想いとは全く違うものですが、年齢に関係なく、その人といると気持ちがラクで素直になれる人というのがいますね。
とは言え、女性ばかりの職場には何かともめごとも多く、気の休まることがないだけに毎日緊張感でいっぱいなんですよ・・・。
ゆうじろうさんは、いかがでしょうか?

投稿: さんとう花 | 2006年11月21日 (火) 07:48

そうですね、もちろん同姓だけの職場には、それはそれでいろいろ牽制やら嫉妬やらありますよね。

陰湿なものも。しのぎをけずったり。でもそんなこと気にしていたら、何にもできない。自分の世界に生きるだけかな。

でも、都会の会社などでは、そうした関係が異性とも生じる社会になりつつあるようですね。現代は。

投稿: ゆうじろう | 2006年11月21日 (火) 10:00

都会ではもっと大変な状況になっているのですか。
ならば、私を取り巻く環境はまだまだめぐまれたものなのかもしれませんね。
今ある自分はややもすれば感謝の気持ちを忘れてしまいがちですが、様々な人たちに助けられて、支えられて生きているのですね・・・。

投稿: さんとう花 | 2006年11月21日 (火) 19:26

そうやっぱり男社会に女の人が入り出して変わってきたのではないでしょうか。スキルや資格を身につけたような人が来るとみんな引いてしまう。結構男は弱い生き物なのですよ。

あんまり痛めつけないように、いたわってあげてくださいね。さんとう花さんの身近な男性たちを。

投稿: ゆうじろう | 2006年11月21日 (火) 19:49

あははは・・・(^o^)
痛めつけられているのは私の方ですヨ☆
傷つけられて、泣かされてばかりです・・・。

投稿: さんとう花 | 2006年11月21日 (火) 20:20

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