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2007年1月14日 (日)

山頭火。

明け方5時。
日曜日の朝、世間ではまだ安らかな休息のとりこになっているころ。
夢の向こう側で、電話のベルが鳴りました。
布団の中の私は、その音が夢なのか現実なのか分からず、しばし耳を傾けていました。
その音は、決して緊急を要する不安なものではなく、気だるく、甘美で、静かに語りかけてくるのでした。
私は布団から這い出ると、おもむろに受話器を取り上げました。
「もしもし?」
「もしもし、おはようございます。」
電話の主は、天使と見まがうほどに優しく、神々しく、そこに「存在」していました。
どんなに私がぐちっぽい時でも、孤独の渦中でも、天使はいつも静かで透明な空間を提供してくれるのです。
一体、何を話したのか、はっきりと覚えていません。
気がつくと私は布団の中で、再び夢の続きを見ていたのです。

年々、受け取る年賀状の枚数が減っています。
これだけパソコンや携帯電話が普及してしまうと、わざわざ年賀状を書くという手間のかかる作業は、とてつもなく面倒で不合理なことかもしれません。
実際私も、疎遠になってしまった友人たちには年賀状を書くことを控え、メールで簡単に「あけましておめでとう!」を送信して年頭の挨拶に代えてしまったほどです。
そんな中、今年も私は年賀状に山頭火の句を添えました。

空へ若竹のなやみなし

この句を詠んだ各人それぞれに感想はあるでしょう。
私はこの句を「再出発」ととらえました。
そこにしっかりと新しい根を張り、腰をすえ、大地と天空が離れ難い絆で結ばれているのを感じるのです。
今年、私は年女。
私の同級生たちもまた然り。
再び12年のサイクルが廻り始めます。

私は長い間さまようてゐた。
からだがさまようてゐたばかりでなく、こころもさまようてゐた。
在るべきものに苦しみ、在らずにはゐないものに悩まされてゐた。
そしてやうやくにして、在るものにおちつくことができた。
そこに私自身を見出したのである。

山頭火が辛酸と苦杯を嘗め、想像を絶するような旅から旅へと流転した人生の中で行き着いた「存在の世界」など、私にはとうてい理解できようはずもありません。
それでもあえて、「私はここにいるよ」と、いつも発信できる自分でありたいものです。

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コメント

朝明けやらぬ時に夢の中から天使のお呼び出しとは、新年早々縁起がいいですね。さんとう花さんの日頃の行いがいいからかな?

山頭火の境地。在るべきものに苦しみ、ですか。自分の理想のことかな?在らずにはいないものとは、欲のことですかね。清くあらねばならないのに愛欲ばかりの自分を心底イヤになったという感慨でしょうか。

在るものに落ち着いたとは、あるがままの自分をそのままに受け入れてもらうしかないという、悩み苦しみ様々な思いが吹っ切れた状態になれたということでしょうか。

昔、一草庵に行ったことがあります。道後温泉の近くの小さな草庵です。雲水衣や網代傘が展示されていました。夜な夜なそこから酔って温泉につかりに行った山頭火は、何もかも繕うことから開放された境地だったのですね。

ありのままのあなたを天使も見守っているはずですよ。


投稿: けい | 2007年1月14日 (日) 15:29

けいさん、コメントどうもありがとうございます☆
さすがです。
あなたには脱帽です。
シンプルな感想なのに、たぶん、それこそが山頭火の核心に触れるものなのだと私も思います。
それにしても、一草庵に行ったことがあるというのは初耳です(^o^)
私もいっしょに行きたかったなぁ・・・(笑)
けいさんも、愛欲ばかりの自分に嫌気がさすことがあるのでしょうか?
私は愛欲の塊ですが、天使は、それでも私を受け止めてくれるのでしょうか?

投稿: さんとう花 | 2007年1月14日 (日) 20:39

おはようございます。

あなたの突っ込みには脱帽です。(笑)

そうですね、まさに私も愛欲にまみれた心の中を何とかしなくてはいけませんよね。

でも、そんな無理なことに心を縛られるよりも、山頭火のように、繕うことから解放されることを選んだほうが近道かも。

私にも天使がやってきてくれないかな。

投稿: けい | 2007年1月15日 (月) 06:32

さんとう花さんの文章は、上手く説明できませんが、引きこまれてしまいます。
夢であったのが残念です。どのような展開になったのですか?山頭火のことはよく知りませんが、最近、美しい文章や言葉に接する機会が少なくなったように思います。それはとりもなおさず、受け手の貧弱な感性の所以かもしれません。それと、心のゆとりが無くなってしまった為かも。

投稿: 晴兵衛 | 2007年1月15日 (月) 21:49

けいさん、再度のコメントありがとうございます☆
そうですか、けいさんも天使を待ち望んでいるのですか。
では、私があなたの、あなたが私の天使になるというのはいかがでしょうか?(笑)

投稿: さんとう花 | 2007年1月16日 (火) 00:15

晴兵衛さん、コメントどうもありがとうございます☆
お褒めの言葉をいただいて、なんだかとても嬉しいです(*^_^*)
晴兵衛さんのブログにもおじゃまさせてもらいましたが、素敵な写真を掲載されていて、「百聞は一見に如かず」という感想を抱きました!(^^)!
長い文章をつらつらと載せるよりも、自分の感性を信じたフィルターから溢れる情感というのは、とても言葉では紡ぐことのできない世界観ですよね。
また遊びに来てくださいね~(^_^)/~

投稿: さんとう花 | 2007年1月16日 (火) 00:24

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