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2007年1月 2日 (火)

善光寺詣で。

遠くとも一度はまいれ善光寺
救いたまうは弥陀の誓願

12月30日の晩、私はH駅で友人のK美さんと待ち合わせをしていました。
改札口前で立っている彼女は、信州行きに備えて、黒の厚手のコートに身を包み、重量のありそうな旅行バッグを肩から提げて、雑踏の中ひときわ神々しく(?)目立っているのでした。
「おまたせ。」
静岡県の東のはずれ、伊豆は伊東からやって来たK美さんを我が家へ招待しました。
とにかく私たちは大晦日の朝、H駅発7時49分の新幹線に乗り、名古屋に8時40分には着いていたかったのです。
我が家に一泊したK美さんと私は、大晦日の早朝5時に起床し、身支度を整え出発。
しかし予定通りにことは進まず、新幹線は一本乗り遅れ、従って名古屋発長野行きの特急しなのも乗り遅れるはめになってしまったのです。
ただ、私たちの前向きなところは、深く「気にしない」ことかもしれません。
当初の予定を狂わせてしまう結果になろうとも、それはそれでまた運命なのだと受け入れてしまう寛容さ(?)。
列車内では、私のおごりでアイスクリームを買い、「スプーンが折れそう。」とぼやきながら、カチンコチンのそれをほじくって食べるなどしてのん気に過しました。
名古屋から北上するに従って車窓の景色はみるみるうちに変わっていきました。
山が近いのです。手を伸ばせば届きそうなほどに。
薄く延ばした青い冬空の下、枯れて枝だけを伸ばす木々が、裸の山を寒そうに包んでいました。
山間に細く延びる川は、冷気の中にもやを立てていました。
この透明感のある静かな車窓の光景は、あらゆる意味を持って、あえて、押し黙っているようでした。
名古屋から約3時間をかけて長野に到着。
駅構内は帰省客やら観光客でごった返していました。
私は用意していた地図をK美さんに預け、善光寺までの道のりを託しました。
整然とした上品な街並みに触れていると、ここでは、山には山の働きがあり、町には町の暮らしがあると、風土の中に生きている人々の声を聞いたような気になりました。

明けて元旦。
私たちは善光寺境内にある小さな古びた宿を飛び出すと、初詣の参拝客の中に身を投じました。
「四門四宗もただ一つ」と、特定宗派に属さない、珍しいお寺。
ご本尊は秘仏、一光三尊阿弥陀如来像がお祀りされています。
私たちは、ごった返す人ごみの中どうにかこうにかお参りを済ませると、境内を隈なく散策してみることにしました。
三門の前にある放生池の奥に立つ大勧進では、宝物館を見学することに。
元旦の朝は開館休業状態で、私たちの他にお客は誰一人としておらず、静まりかえった大勧進をゆっくりと堪能することが出来ました。
護摩堂と呼ばれる場所だったか、私たちは端座としてそこに畏まり、私は傍らの仏前勤行集を手に取りました。
それから「般若心経」をお腹の底から唱えることにしました。
読経は私にとって毎朝の習慣でもあるので、既に「般若心経」は諳んじていましたが、あえて一字一句を大事に大切に読み上げていきたかったのです。
私たちは恭しく合掌し、正面に安置されるお位牌に頭を垂れると、そこを後にしました。

すがすがしく、清らかな風が二人の内なる精神に吹き込まれました。
あれほど愚痴の多かった2006年も千秋楽を迎え、いつのまにか、時間というステージが光に照らされて、2007年のどん帳を上げたのです。
目に映る何もかもが新しい世界の幕開け。
私もK美さんも踊らされた一年間を省みながら、目の前に広がる人生という大海原を、強烈な躍動感を伴って泳いでいこうとしていました。
私はその鮮やかな感情を信じて、善光寺を去ることにしたのです。

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コメント

あけましておめでとうございます。

いいな、お寺ですか。私は近くの神社にお参りして元朝参り済ませました。でも、善光寺は以前一度だけ行ったことあります。お寺はぜんぜん憶えて無くて、なぜか仲見世通りが随分広かったことだけ憶えてます。長野五輪のときに、オープニングで鐘を撞いた音は記憶にありますけれど。

ところで、さんとう花さんが愚痴の多かった昨年だったなんて信じられません。ここでたくさんの作品を紹介されてとても溌剌としていたように思っていました。こちらに愚痴を書くのも良いかもしれませんよ。今年も是非みんなの知らない名作や勘所をご紹介下さいね。

今年も宜しくお願いします。

投稿: けい | 2007年1月 3日 (水) 08:49

あけましておめでとうございます(^o^)
新年初のコメント、どうもありがとうございます☆
けいさんも、善光寺へ行かれたことがあるのですね。
でもお寺は全然覚えてないって、それは長野市民を敵に回しそうな発言ですね~(笑)
私はあなたの伸び伸びとした発言に触れる度に、あなたのブログに出かけてみたくなります。
一体、どんな記事を書いておられるのでしょうね?(笑)

投稿: さんとう花 | 2007年1月 3日 (水) 14:46

さんとう花さん、あけましておめでとうございますm(__)m
善光寺、HPも見ましたが、荘厳で魅力的なところですねえ。
さんとう花さんのブログを読んでかなり興味が出て来ました。
永平寺と共に旅先候補に入り始めました。
良い旅が出来て良かったですね。
今年は良い年になるのではないでしょうか。

本年もどうぞよろしくお願いしますm(__)m

投稿: moo00 | 2007年1月 4日 (木) 10:59

あけましておめでとうございます(^o^)
コメントどうもありがとうございます☆
mooOOさんと好みが似ているのでしょうか?
実は驚いたことに、次なる旅行先は「永平寺」と考えていたところなのですヨ☆
私には宗教心はありませんが、なんというか、神社仏閣というのは目的のない旅には持って来いの、心の故郷のような気がします。
本年もどうぞよろしくお願い致しますm(__)m

投稿: さんとう花 | 2007年1月 4日 (木) 12:02

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