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2007年3月18日 (日)

男子の本懐。

私が高校2年生の時、クラスで「みたらし団子論争」なるものが勃発しました。発端は何だったのか今となっては思い出せませんが、「だんごは餡子に限る」派の私と、「絶対にみたらし」派のK美さんとクラスは二分されたのです。
女子高だったこともあり、「どっちでもいいじゃん~」というムードが蔓延する中、私とK美さんは女の意地とプライドをかけ、はたまただんごの何たるかまでを追求し(?)激しい論争を展開したのです。
当時から甘党だった私は「餡子というのはコーヒーにもお茶にも合う。漉し餡も好し、つぶ餡も好し。だんごの素朴な風味を最大限に生かしてくれるパートナーなのであって絶妙なコンビネーションを誇る代物なのだ」みたいなことを言うと、K美さんは真っ向から反対し、
「なるほどそうかもね。でもみたらしの魅力は万人受けするところだよ。甘いものが苦手な人でもみたらしなら抵抗なくだんごというものを堪能することができる」と言って両者一歩も譲らず。
結局私たちは「これは嗜好の問題だ」という結論に行き着き、和解するのでした(笑)

私は城山三郎の「男子の本懐」を読みました。
性格も境遇も正反対の二人、浜口雄幸と井上準之助が一つの政策に全身全霊を込めて打ち込む姿を城山が独特なタッチで淡々と綴った作品なのです。
不思議なのは、あくまで小説なのにノンフィクションのようなリアリティさが随所に散りばめられているところです。
著者の城山三郎は名古屋市出身で一橋大学を卒業しています。
主に経済小説を手掛けています。「総会屋錦城」で直木賞を受賞しており、主な著書に「落日燃ゆ」などがあります。
「男子の本懐」は、第27代内閣総理大臣に就任した浜口雄幸(高知県出身東大法学部卒)と、彼の盟友であり同内閣蔵相に抜擢された井上準之助(大分県出身東大法学部卒)が命をかけて「金解禁」という目標を達するまでのプロセスを描いた小説です。
浜口内閣の最大課題は金解禁と軍縮にありました。
それには政、官界や軍部とも果敢に戦い抜くことのできるバイタリティーのある人材を必要としたのです。
金解禁を断行しうる蔵相には井上の力が必要だったのです。
浜口は三顧の礼を取って井上の説得にあたります。
結果、浜口の不動の信念に突き動かされた井上は、運命を共にすることを誓うのです。
息を呑む国会の答弁や、臨場感溢れる論争は、まるで自分がその場にいて一部始終を目の当たりにしているような感覚にさえなります。

「すでに決死だから、途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である」

そのように妻子に告げた浜口が、凶弾の傷がもとで死を早めた際、ふだん決して取り乱すことのないインテリの井上が天を仰いで号泣するシーンは、不覚にも入り込んでしまった私の目から大粒の涙が零れました。
しかし、その井上もわずか半年後に凶弾に撃たれて絶命します。

二人の静と動の名コンビにあこがれます。
この友情と苦闘から私たちは一体何を学べるのでしょうか?

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コメント

そう あの頃の政治家は本当に命を賭けて取組んでましたね。武士道です。
今の政治家に爪の垢でも煎じて飲ませたいですね。

投稿: 晴兵衛 | 2007年3月18日 (日) 17:00

晴兵衛さんコメントありがとうございます(^o^)
浜口雄幸と井上準之助の名コンビをご存知でしたか。この小説は素晴らしいですよ!
難い内容にもかかわらず、思わず作品に入り込んでしまうのです。
両名の政治家は激動の昭和一桁期に散った桜の花にも似ています。
日本男児の象徴ですね~(笑)

投稿: さんとう花 | 2007年3月18日 (日) 19:00

男子の本懐私も大好きです。浜口の生き方はたぶん私には真似できないけれど、あんな風に生きられたらいいなあと思います。ひとつの事を貫く事は並大抵の事ではないけれど、だからこそ美しいのかもしれませんね。

投稿: かず | 2007年3月19日 (月) 08:36

かずかず(?)コメントありがとう(^o^)
やっぱりあなたは浜口が好き?
私はインテリ井上が好きなんだよね(^_-)-☆
なんというかスタイリッシュでイギリスナイズされているところが格好いいのです。
海外赴任している時、奥様へ毎日長いお手紙をつらつらと書いている井上の愛妻家ぶりをごらんなさい!
外敵と真っ向から闘えるのは、内面を支えてくれる愛する人がいてこそなんですよね・・・。

投稿: さんとう花 | 2007年3月19日 (月) 19:21

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