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2007年7月24日 (火)

火車。

向かいのお宅のブロック塀から見上げるほどのひまわりが一本だけぬっと伸びています。
「どうだ」と言わんばかりの圧倒的な存在感に、セミの声すら遠くに感じてしまいます。
昨晩はあまりの蒸し暑さに耐え切れず、かき氷を食べに出掛けてしまいました。ヨーグルト風味のシロップはのど越しが良く、身体の火照りをみるみるうちに冷却してくれるような爽快感がありました。

それにしても夏というのは何かと出費が嵩みます。所帯じみた話題で恐縮ですが、除草剤に蚊取り線香は必須、昨年まで着たTシャツはヨレヨレだからとユニクロで新品を購入してみたり。食べ物が痛み易いからと作り置きするのをやめて、その都度スーパーでお惣菜を買ってみたり。とにかくいつもお財布の中身は心細さにしくしくと泣いています。正に「火の車」とはこのことなのです。

ミステリー小説と言えば松本清張と決め込んでいた私ですが、最近は少しだけ柔軟な姿勢でサラリと読める作品にも手を伸ばすようになりました。
先日読了した宮部みゆきの「火車」はなかなかでした。バブル期を体験した人の中には、その後かなり生活レベルを下げて上手にやりくりしながら峠を越えた方もおられるだろうし、その逆も必ずおられます。洋服、アクセサリー、車、等の身につける物にこだわりを持つ人にはかなりの苦渋を強いられた時期があったに違いありません。
お気に入りのブランドは愛用者に活力を与え、心を豊かにさせる魔力があります。大枚を叩いて購入する人たちを、誰が非難できるでしょう?
物質主義の私たちは、その物質に支えられて生きているのですから。
では、あらすじです。

休職中の刑事、本間は遠縁の和也に頼まれて彼の婚約者である彰子の行方を捜すことになった。
銀行員である和也は、一枚もクレジットカードを持たない彰子に役に立つからと言ってカードを作ることを勧めた。ところがいざ申請してみると、彰子は銀行系、信販会社系の両方の信用情報機関のブラックリストに載っていることが判明。和也は愕然とする。そこですぐに和也は彰子に事実か否かを問い詰めると、翌日には消息を絶ってしまった。
和也はわらをもすがる思いでその経緯を本間に夢中になって話した。
必死になって頼って来る和也を振り切ることも出来ず、本間はとりあえず彰子の足取りを追ってみることにした。
本間は刑事としての職業柄、そこに事件性を感じた。
彰子は、関根彰子という人物に成り済ました全くの別人だったからだ。
一体彼女は何者なのか?
「カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生」を、本間は地道に辿ってゆく。

作者の宮部みゆきは東京都江東区出身で、ミステリー小説や時代小説を手掛けています。ジュブナイル作家とも呼ばれ、京極夏彦らとともに若年層に定評のある作家です。
この「火車」では山本周五郎賞を受賞、「理由」では直木賞を受賞しました。
長編モノを苦手とする方々にもこの宮部作品はすんなり受け入れられることと思います。
社会派のインテリジェンスには多少、難があるかと思われますが、それはノベルとして楽しまれたら問題はないかと。
私個人的には勢いで読了。おもしろかったです。

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コメント

なっつ~!って感じの壁紙ですね。今日、仕事の帰りに、近くにある「ひまわりの丘」と言うところによって着ました。
「ひまわり」って必ず太陽を向いているのかと思いましたが、今日は、殆んど太陽に背を向けてました。恐らく、日の出の方向に向いているからなんでしょうね。

話は変わりましすが、私は「理由(わけ)」を読みました。読みやすい本だというのがダイイチ印象です。その後は読んでおりませんが。どちらかと言うと推理モンは、最近あまり興味がなくなりました。

夏バテしないようにお気をつけください。

投稿: 晴兵衛 | 2007年7月27日 (金) 22:22

晴兵衛さん毎度書き込みありがとうございます(^o^)
そうですか、直木賞作品「理由」を読了されたのですね。宮部作品はこれまでノーマークだったのですが、ライトノベル感覚で読み易いことが判明。これからは社会派小説もこういう類でなくちゃ、という人気作家たる所以を見せつけられたような気がします。
うだるような暑さの中、どうぞ熱中症などにはくれぐれもご用心。

投稿: さんとう花 | 2007年7月28日 (土) 17:38

こんばんは~。
出てきましたね~宮部みゆき作品「火車」
作者は弁護士事務所に勤務していて、
こういったケースを何度も担当していたそうですね。
その意味では「理由」も内容が同じく法律的です。
僕は、「火車」「理由」「模倣犯」「誰か」という順で読みました。
「火車」は再読もしました。
当時の大阪球場の現状など書かれていて、おもしろいです。
細部に女性の深層心理が書かれている場面もありますしね。
ラストはハラハラしました~。
松本清張も好きですよ。

投稿: カイ | 2007年7月29日 (日) 21:47

カイさんコメントありがとう(^o^)
そうですか、宮部作品をかなり読み込まれておられるようですね。
宮部みゆきのスゴイところは、どんなに重いテーマを扱っていたとしてもライトノベル感覚で読めてしまうところなのだと思います。
長編なのにもかかわらず、ページをめくるのが苦にならずすんなりと読了できてしまうのはやっぱりプロの成せる技なのかもしれませんね。
ところで宮部作品の中ではどの小説が印象的ですか?
直木賞を受賞した「理由」などはどうでしたか?
カイさんの感覚で何かおすすめ作品がありましたら教えてくださいね~(^_^)/~

投稿: さんとう花 | 2007年7月30日 (月) 23:07

こんばんは~
先日は拙ブログにコメントいただき、ありがとうございました。
宮部作品は前に書いたとおり、4作品しかまだ読んでません。
その中では、この「火車」がサスペンスですね~。
「模倣犯」はかなりの長編でしたが、一気に読みました。
怖い人間ドラマだと感じました。
「理由」は仕事柄、馴染みのある内容でした。
しかし、ここに出てくるマンション名がやたらに長くて、
頭の印象に残りすぎます。
「名もなき毒」も面白そうですね。
あっ!他に、時代小説の短編「怪(あやし)」も読んでました。

投稿: カイ | 2007年8月 2日 (木) 21:10

カイさん再びコメントありがとう(^o^)
それにしても宮部作品、かなり読み込まれてますね~(^^)
長編の「模倣犯」も読了されておられるんですね。あれだけの長文を一気に読ませる宮部みゆきのテクニックたるや、さすがプロですよね。私はあの厚みを見ただけで怖気ずいていましたが、「模倣犯」を読んでみようかなぁ、と思いました☆
感想をどうもありがとうございましたm(__)m

投稿: さんとう花 | 2007年8月 2日 (木) 21:52

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