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2008年2月11日 (月)

ロートレック展。

2月2日の父の命日は、いつもと変わらない朝を迎え、一本のお線香をあげてお位牌に手を合わせました。
父方の親戚とはすでに付き合いもなく、私のことなど覚えている人は、まずいない。
菩提寺は伊豆にあるけれど、年に一度だけお盆にお参りするのみ。
きっとお墓は草ぼうぼうで、墓石のてっぺんは心無いカラスの糞で汚れていることだろう。
本来なら、外出する余裕のある時こそ優先してお墓参りに行くべきなのに。
私は趣味を優先して、東京は六本木、ミッドタウン内にあるサントリー美術館に出かけてしまいました。
それは10日(日)のこと。
どこまでも親不孝の私です。
時折思うのは、人間たちなど全て無視して毎日部屋にとじこもりきりになって、落葉を終えた木々の間を小雪が舞うのを見てすごしたい、と。
でもそんな勝手な生活など許されるはずもなく、毎日毎日、時間と生活と目に見えない他人の辛辣な言葉に苦悩し、追われて生きていくのが現実なのです。
そんな私がなぜ東京まで出かけたのか?
もしかしたら、そこに「癒し」を求めたのかもしれません。
人工の光を浴びながら、人知れず寂しさを抱え、猥雑な環境の中で肩を震わせながら生きている孤独な姿を思い浮かべてしまったのです。

私はサントリー美術館で、ロートレック展を観ました。
静岡の片田舎では、まずお目にかかれない素晴らしい設備と、優雅で格調高い館内を存分に楽しませてもらいました。
休日ということもあってか、館内は満員。
一つの作品をじっくりと堪能するインテリジェンスが多くて、まるで前に進めないのです。
南仏の画家ロートレックは、風景画や静物画をたしなまず、その作品のほとんどが人物、あるいは動物なのです。
私が特に気に入ったのは、娼婦が疲労のためベッドに無造作に横たわる姿。
このデッサンは、ほんの短時間で描き上げたとはとても思えない表現力なのです。
客を取る合い間を縫って、少しでも体を休めたいと仰向けに無抵抗な姿で横たわる娼婦は、隠微で、だけど人間の抜け殻なのです。
ロートレックの描いた都市風俗は、決してエロティックではありませんが、彼が目指していたのはそういうものではなく、もっと大衆文化を自然な形で表現することにあったのではないでしょうか。

「僕はデッサンで自由を買った」
と、自身の仕事に誇りを持っていたロートレックの創作活動は、晩年の10年間に集中しています。
彼は37歳という若さで、天寿を全うしたのです。

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コメント

こんばんは(^_^)

東京に癒やしを求めて来たさんとう花さんと、片や静岡に癒やしを求める僕(笑)
なかなかうまくはいかないものですね(笑)

僕も常に、ずっと引きこもってこたつに入って隠居したい気分ですよ(笑)
まあとにかくせわしない世の中ですよね。

投稿: moo | 2008年2月11日 (月) 19:47

mooさんコメントありがとうございます(^^)
その後、お元気でしたか?
肩肘張って生きているつもりはないのですが、時々めげてしまいそうになることがあるんですよ・・・(>_<)
そんな時は気分転換も兼ねて、美術館に出かけてみたり、お寺へお参りへ行ったりとかして自分を励ますのです(^^ゞ
ささやかな自分へのごほうびかも(*^_^*)

投稿: さんとう花 | 2008年2月11日 (月) 22:15

先日、家内とドライブがてら、淡路島を越えて徳島の鳴門まで行きました。そこで有名な「大塚国際美術館」へ。大塚Gの総帥が、創業75周年の記念事業として450億円を投じて陶板焼の原寸大を展示しているのです。もともと、子供の教育目的で造られたこともあって、触ってOK,写真OKなのです。美術に関しては苦手な晴兵衛でしたが、大満足!原寸大の複製は、関係者(末裔)の許可が必要なのだそうです。今回は、解説つきの団体に合流したので、別の観点から鑑賞できましたね。単に美しいとか、構図がいいとかではなく、その絵の背景に隠されたものを知っているかどうか?でも面白みが違ってきます。その背景も後世の評論家等がこじつけるにしても、興味をそそるある種の考古学的な面もあるかも。

投稿: 晴兵衛 | 2008年2月16日 (土) 21:39

晴兵衛さんお元気でしたか?
コメントどうもありがとうございます(^^)
そうですか、晴兵衛さんも美術館を訪れたのですか。
なんというか絵画をぼんやり観ていると、すごく楽しいと思いませんか?(^^)
難しい絵画技法とかうんちくなどはさっぱりですが、気持ちが優雅になるというか、癒されるというか・・・。
でもご夫婦で仲良くお出掛けなんてうらやましいですね~(^_-)-☆
愛妻家の晴兵衛さんの横顔を垣間見た気がします(*^_^*)

投稿: さんとう花 | 2008年2月17日 (日) 10:26

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