フォトカード。
仲良しのSさんが、度々季節のお便りをくれます。
電子メールのやりとりが日常的な昨今において、アナログな郵便で届くフォトカードは何にも増して嬉しい贈り物なのです。
Sさんは多趣味で、しかもどれも極めた感があり、特に写真撮影などはもはやプロ並みです。
春先にいただいた菜の花畑の写真には、中原中也の詩が添えられていて、そのノスタルジックな世界観に思わず陶酔してしまうほどでした。
また、昨年の梅雨時にいただいたあじさいに止まる紋白蝶の写真は、特に私のお気に入りなのですが、絶妙な瞬間を捉えた見事なアングルで、まるで写真の世界から浮き出てきそうな美しさが感じられました。
さらに、秋が訪れると今度は一面に広がる枯れ葉の絨毯を撮影した写真。
あるいは、木の切り株にひらりと落ちたもみじの写真。
これらは慈愛とあたたかさに満ち溢れていて、ただ眺めているだけでもつかの間の癒しさえ与えられるのです。
つい最近いただいたのは、すっかり装った秋の山並み。
そして、ふもとにこじんまりと民家の集落。
わびしい田舎町。
そこには、山頭火の句が添えられていました。
あんたのことを考へつづけて歩きつづけて
“どうしようもない私”が求めて止まなかったのは、正に、この想いだったかもしれません。
Sさん、いつもやさしさとあたたかさをありがとう。
これら一枚一枚、甘美で透明感のある季節の囁きは、私にとって極上の宝物なのです。
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