サイコ。
花粉症のピークを過ぎて、ようやく、くしゃみ・鼻水・目のかゆみから解放されつつあります。
そうは言ってもこの季節、桜の開花に始まって心が躍り、穏やかな春の陽気と人々の明るい笑顔に気分は絶好調・・・のはずですが、そうそう上手くはいきません。
「五月病」という言葉があるほどです。
この季節にポッカリと口を開ける、暗い闇の部分を、私、さんとう花は知っているつもりです。
(口幅ったい物言いで申し訳ありませんm(__)m)
でも、普段は目を背けています。
春という季節の明るさを頼りに、影を踏まないように気をつけているのかもしれません。
私の大好きなヒッチコック作品の一つに、「サイコ」というショッカー映画があります。
この作品はいろんな意味で、後のサスペンス・スリラー映画に影響を及ぼした、すばらしく完成度の高い映画なのです。
舞台はアリゾナ州フェニックス。
安価なホテルでつかの間の逢瀬を過ごす若い男女。
女はマリオンと言い、不動産事業所で経理事務の仕事をしている。
男と逢引を終えると、その足で事務所へ戻る。
事務所では、支配人と取引相手の商談が成立し、キャッシュで4万ドルの取引が行なわれていた。
支配人はマリオンに、4万ドルをすぐに銀行の貸金庫に預けるよう言いつける。
マリオンは4万ドルを預かったものの、「頭痛がするので早退させてほしい」と、お金を持ったまま早引きする。
そして、マリオンはそのお金を銀行に持って行くことはなかったのだ。
「サイコ」を鑑賞するにもいろんな捉え方があると思います。
そんな中、これこそが人生の落とし穴だと思われたのは、やはり何と言っても、作品前半のヒロインであるマリオンの出来心・・・4万ドルという大金に目が眩み、持ち逃げしてしまったことでしょう。
それは、直線的な恐怖と危機を煽る一つのエピソードでしかなかったのです。
彼女はその後、4万ドルを手にしたまま、人気のない古めかしいモーテルで、経営者のノーマン・ベイツに殺害されてしまいます。
お金目当ての犯行ではありません。
ノーマンの精神異常による犯行でした。
マリオンは盗んだ4万ドルを返して、もう一度やり直そうと決心した矢先のことでした。
運命とは皮肉なものです。
たった一度の出来心、“魔が差す”というものでしょうか・・・この一瞬の隙が人間をどうすることもできない泥沼に引き摺り込んで行くのです。
ささいな過ちは日常茶飯事に繰り返してしまう私たちですが、犯罪と呼ばれるような、倫理観に反するものには決して手を染めてはなりません。
享楽に耽って我を忘れ、うっかり落とし穴にはまることがないよう、今一度自分を律せねばと思いました。
春とは私にとって、清々しい理性を、改めて呼び覚ます季節なのです。
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