ターミネーター2。
あれはまだ私が伊豆の片田舎に住んでいる時のこと。
月に一度、町内の公民館で映画の上映会がありました。
公開より半年以上経った作品の上映と言うこともあり、町民は¥500で鑑賞することが出来ました。
いつもは友人を誘って出掛けるのが恒例でしたが、「T2」の時はなぜか友人の都合が悪くていっしょに行く相手がいませんでした。
夜の7時半からの上映なので帰りは10時過ぎになってしまうため、さすがにこの時ばかりは半ばあきらめていたところ、当時まだ健在の母が「行ってみたい」と言うのでした。
病気療養中の父も、そのころは体調が安定していたため、数時間ぐらいなら留守番も出来たのです。
そんなわけで私と母は、自宅から20分ほどのところにある公民館まで、懐中電灯で足元を照らしながらてくてくと夜道を歩いて行くのでした。
そんな思い出のある「T2」を、例によって仲良しのSさんからお借りして、実に18年ぶりに観ることが出来ました。
1作目、2作目ともメガホンを取ったのは天下のキャメロン監督で、「T2」ではなんとアカデミー賞4部門を受賞するという快挙を成し遂げました。
評論家の多くが絶賛しているので、今さら私が言うまでもないのですが、1作目から2作目では目に見える進化が感じられるという点。
衝撃的だった液体金属の描写など、当時としては最先端の特殊効果を駆使したことがありありと分かるし、何かから何かへと変化するという絶妙な設定は、斬新な悪役として視聴者の心理を釘付けにしたのです。
また、本作では大切なキーワードとなる母親サラ・コナーも、1作目では街にいるフツーのギャルでしかなかった小娘が、「T2」では驚愕するほどの変貌ぶりを見せてくれるのです。
つまり、女性本来の持ち合わせる優しさとかしなやかさなど捨て去り、強くたくましく潔いばかりの戦闘士へと進化を遂げているのです。
要するに前述のような、画期的CG効果も去ることながら、ジェームズ・キャメロン監督の描く世界観、それは脚本にしても演出にしても少しのブレもなく、完璧なまでの映画に完成されたということの証拠なのです。
私は「T2」を再び観る機会を与えられましたが、あの片田舎の公民館で観た感動と少しも変わらない、ドキドキハラハラ感を楽しむことが出来ました。
そして、今は亡き母もあの時は21世紀を垣間見るような思いで斬新な「T2」を観ていたに違いないと、今さらながら確信するのでした。
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