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2010年2月22日 (月)

どうで死ぬ身の一踊り。

元来、私は異性との縁には無残なまでに見放されているかのような男だったが、それでもこれで二十四歳までの間は、まだ人並みに、併せて四人の女性と交際を得るなぞ云ふ、今では夢物語のような機会もあったのだ。
しかし、その最後のひとりに手を上げ、彼女の前歯を損傷させて、その親が出てくるような騒ぎのあとには私の恋愛運もペナルティーを食らったもののように消滅したかのようで、その後はもはや、いわゆる素人女性に関しては肌にふれるはおろか、口を利く機会すら皆無なまま、十年と云ふ月日を虚しく経ててしまっていた。
(「どうで死ぬ身の一踊り」西村賢太・著より)

最近は身近で起こったおもしろエピソードなどの類もなく、ただひたすらに日々を生活するという毎日です。
別段それに不満があるわけでなく、好きな音楽を聴いたり、あるいは目に留まった本をゆっくり読了する幸せをかみしめている今日この頃なのです。

今回読了したのは、わりと最近知られるようになった作家の著書で、西村賢太氏という私小説家の「どうで死ぬ身の一踊り」という作品です。
この著者は、藤澤清造というわりあいマイナーな作家に人生をかけているような節があり、びっくりしたのは、その藤澤氏の墓標をアパートの一室に宝物のようにして飾ってあるというくだりです。
さらには、この著者の父親というのが強制わいせつ罪で刑務所に入っていることや、同棲している女性に殴る蹴るの乱暴を繰り返した実態など、赤裸々に描写されているのです。
これは、「どうで死ぬ身の一踊り」という著書に淡々と書かれているのですが、もちろん全てが全てノンフィクションであるとは限りません。
あとがきにもありましたが、「デフォルメをほどこしている」出来事もあるようです。
ただ、創作集というにはあまりにも生々しく、露骨であるところからすると、限りなく事実に近い創作ではないかと思われます。

まっとうな生き方を望むと望まざるに関わらず、何か得体の知れない陰気なものにずるずると引き摺られていく、人間の「業」のようなものを感じないではいられませんでした。
変わり映えのない日々を、終日生きる自分を遠くから見た時、実は自分という人間が存在すること自体がエピソードに成り得るのだと思い知らされるのです。

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コメント

さんとう花さん、ブログにコメント、ありがとうございます♪
更新は映画評が多いのですが、なんかもう半ば義務みたいになってて、疲れてたりします(^-^;
見たらとりあえず書かなきゃ、みたいな(笑)
で、レンタル半額dayにまた借りて来てしまう、レンタルスパイラルに陥ってます(笑)
まあやっぱり好きだから書けるんでしょうけど。。

静岡、僕はもうファン歴5年以上だと思いますよ!
今回は興津から清水あたりにぶらりと行って来ました。
どうも中部地方が好きみたいですね、自分の傾向を振り返るとヽ(´▽`)/
写メもたくさん撮ったことだし、徐々にアップしていきますよ♪

あ、さんとう花さんがブログ更新滞りがちって、僕はそういうところが静岡の方の良いところだと思ってるんです。
「ま、いっか。」みたいな(笑)
ブログのためにあくせくカリカリしてる人が静岡のスタンダードだったら嫌だもんなあ(笑)

なんといっても、あののんびり感!
それが最高なのです!

投稿: art-isamu | 2010年4月25日 (日) 13:42

art-isamuさん、書き込みありがとうございます(^o^)
そうですか、静岡にはそれほどハマっておられるんですか!?(笑)
なにぶん、地元人なので、かえって静岡の良さに気付かないのかもしれませんねぇ(汗)
そうそう、私も最近はDVD鑑賞にハマっています。
以前と変わったのは、一つのジャンルにこだわることなく、アクションからコメディからサスペンスまで多方面に渡って見ることで、自分の視野を広げるようにしてます。
三十代も後半になると、かなり考え方にも偏りが出て来るので、なるべく柔軟でいたいなぁと思う今日この頃なのであります・・・(汗)
art-isamuさんの記事を楽しみにしてますので、またおじゃまさせて下さいね~ヽ(^o^)丿

投稿: さんとう花 | 2010年4月25日 (日) 22:30

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