大人のための残酷童話
ここのところストレス過多で、肩こりやら頭痛に悩まされていましたが、ようやく改善されつつあります。
まずは休養をとりました。
だいぶ有給休暇も貯まっていたので、思い切って平日にお休みをいただき、羽を伸ばしてみました。
羽を伸ばすと言ってもどこかへ旅行するとかではなく、図書館で10冊ほど本を借りて来てどっぷり読書に浸ったのです。
そうそう、ケーキも買って来ました。(誕生日でもないのに、、、)
和栗モンブランです。
あったかいコーヒーを飲みながら甘い物を食べ、こたつで丸くなって読書三昧。
贅沢なことです。
不思議なもので、気持ちが萎えている時はホラー小説みたいにとんでもなく現実から逃避したジャンルは、反って心に優しい(?)のです。
ベタな恋愛小説で他人のハッピーエンドに胸を熱くさせるような年齢でもないし、かと言って、社会派ノンフィクションなどはこの年の瀬に読む気にはなれないし、、、(孤独死を扱ったものとか)
そんなわけで、倉橋由美子の『老人のための残酷童話』を読んでみました。
この作家の作風は、どこまでも渇いた感じです。
どれほどの濡れ場であっても、そこに男と女という物体が存在しているに過ぎず、感情の吐露みたいなものは皆無なのです。
「恋」とか「愛」という文字が、感情を伴わず、単に文字として存在しているような、まぁそういう感覚で読むと、本来の倉橋作品の醍醐味を味わえるのではと思います。
『残酷童話』は短編集となっているのですが、どれもものすごく残酷でした。
中でも「老いらくの恋」は衝撃的で、夢にまで出そうでした。(笑)
端的に言ってしまえば、偉いお坊さん(80歳)と盲目の少女との恋のお話です。
偉いお坊さんのやることなすことは、これこそが仏の道に仕える者の正しき姿なのかと錯覚してしまいます。
でも、よくよく読んでみると「あれ?」と首をかしげてしまう箇所がいくつも出て来ます。
それも仕方がありません。
この作品はあくまで童話なのですから。
この80歳の偉いお坊さんは、弟子の僧の一人が病に伏していると、そこへ盲目の少女も連れて行きます。
驚くのはその場へ少女を寝かせ、股を開かせて、病人である弟子にその秘所を拝ませてやるのです!
ちょっとこのあたりになると、『老人のための童話』というより『大人のための』と言い換えた方が良さそうです。
本来ならこういうシーンはもっとエロティックに描かれるべきところなのでしょうが、倉橋由美子の筆致はまるでそれを忘れてしまったかのように、淡々としていて、むしろドキュメンタリータッチ(?)なのです。
倉橋作品は、読み手によっては嫌悪感をもよおす方もおられるでしょうから、後味の悪さを気にされる方にはあまりおすすめできません。
とはいえ、ハマるとやめられなくなりそうな作品が多いのも事実です。
ちょっとでも興味を持たれた方は、ものは試しで、こちらの『老人のための残酷童話』あたりを手に取られたらいかがでしょうか?
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