ごめんね青春
私が静岡県東部地区から西部地区に引っ越したのは平成10年のことなので、故郷を離れてすでに16年も経つことになります。
私が生まれたのは三島の病院で、高校も三島にある公立高校を卒業しており、“三島”と聞くと、何とも言えない郷愁を感じるのです。
テレビの番宣で、三島を舞台にしたドラマが始まることを知り、ちょっと興味を持ちました。
先月から始まったTBS系日曜劇場『ごめんね青春』は、夜の9時から放送されているのですが、いや本当におもしろい!
宮藤官九郎が脚本を手掛けているので、まずハズレはないだろうなーと思いつつも、期待以上のコメディ・ドラマで、毎週日曜日の夜が楽しみでなりません。
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」とはよく言ったものですが、三島を離れた今、テレビの画面を通して三島の街並や、母校の正門、校庭などが映し出されるのを見ると、思わず懐かしさに胸が熱くなるのです。
ドラマでは、駒形大学付属三島高校という禅宗系の男子高校として登場するのですが、実際のあの場所には公立校が存在します。
もともとは女子高でしたが、現在は男女共学となりました。
そう、私の母校なのです。
あの門を3年間毎日くぐっていた記憶が、昨日のことのように思い出されます。
親友のK美さんも同校の卒業生なので、おせっかいの私はすぐにメールすると、彼女も『ごめんね青春』を見てくれて、「わーなつかしいー!」という返信がソッコーでかえって来ました。
彼女も今は故郷を離れ、大阪に住んでいるため、それはもう懐かしさでいっぱいになったようです。
ロケにも使用された源兵衛川沿いの散歩道は、以前から市民の憩いの場となっており、白滝公園もまた、私やK美さんがブラブラと歩き回った場所で、何てことはないところなのです。
それなのに一歩そこから離れてみると、とても貴重で大切な記憶の断片となっていることに、改めて気づかされるのです。
「久しぶりに三島へ行ってみたいねー」
と、K美さんがメールをよこしたのですが、私も同感。
伊豆箱根鉄道駿豆線(通称:いずっぱこ)に乗ってブラリと三島まで出かける、という気軽な距離ではなくなってしまいましたが、それだけに魅力のある土地なのです。
ドラマに度々登場する“みしまコロッケ”なるものは、おそらく町おこしのために近年になって売り出されたものだと思われます。
なので、私やK美さんなど25年以上も前に青春を謳歌した世代には、残念ながらピンと来ません。
『ごめんね青春』では、私立の女子高と男子高が、少子化の煽りを受けた経営難からの脱却のために、両校が合併しようとする物語です。
偶然にも、私の母校は女子高で、古くは女学校として伝統のある学校だったのですが、何年か前から男女共学となりました。
これも時代の流れなので、仕方がありません。
今思えば、高校3年間は決して明るくはなく、心から楽しかった思い出などというものはありませんでしたが、何十年も経って、ただ一言、「なつかしい」と思える気持ちがふわりと湧き起ったら、それが青春なのではないかと思うわけです。
映画や小説の中で描かれている華やかで輝かしい青春は、ごくごく少数派の体験するものであり、その他大勢はおそらく“灰色の青春”というのが現実なのではないでしょうか?
最近のコメント